詩素18号に詩「恋ヶ淵伝説」、書評「吉田義昭詩集『海と重力』」掲載

 

洪水企画刊「詩素」18号に、 詩「恋ヶ淵伝説」、書評「吉田義昭詩集『海と重力』」が掲載されました!

2025年5月1日発行の「詩素」18号。
pp.40-41の拙詩に加え、今回はp.56「詩集を読む」コーナーに拙評も寄せています。

まず詩「恋ヶ淵伝説」のほうは、崖と恋をめぐるメタフィクション(「恋ヶ淵」は架空の地名)。
こういう、どこにでもありそうな説話を勝手にでっち上げるのが昔から好きなのですが、しかしどうして説話っていつも娘さんが可哀そうな目に遭うんでしょうね。
もちろん需要があるから、そういう物語を喜んで享受する層がいるから、ですよね。という哀しいロジックは、15号で発表した「十枚目」にも共通するところで、二条にとっては因縁のテーマなのかもしれません。

さて執筆者アンケートでは、有難いことに5名の方々から票をいただきました。頂戴したコメントを下記にご紹介します。

「地名や標識に対するレクイエム。言葉の流れに工夫が見られると思いました」(新延拳さんより)

「(他の作品と列記の上で)それぞれ、景や像が立ち上がってきて、言葉が生に絡みつくようで、印象深かったです」(海埜今日子さんより)

「悲恋物語の伝説は古今東西バリエーション豊かに数えきれないくらいあると思うが、でも行き着く先は3連4連にあるような確かさ……でもすべて消えてしまうときがきても伝説って豊かでいい」(坂多瑩子さんより)

「~ひとつの悲恋が~/どの文献でも揺らぐことがない/~こういう書き出しはよく有りそう。さらっと流そうかなと読み始めたら、アレッ?「恋ヶ淵バス停」の標識~/この手のコイは もともと古語の「崩え」、つまり崩壊する地形、~音にうつくしい文字があてがわれたように/字にうつくしい物語が~。──この辺りで目に画鋲がチラチラ、たちまちアイロニーの効いた隠し味に魅了され、そのままうつくしい幻想に引き込まれました」(大橋英人さんより)

「おどろしい情の詩かと思いきや、その伝説という虚構を支える事実に迫っていく……論理の透明な力。〈あとには 崩壊寸前の/切り立った崖だけが残る〉見事な切れ味」(八角正大さんより)

「詩集を読む」コーナーには、吉田義昭さんからご恵贈いただいた詩集『海と重力』(思潮社)の書評を。
実はこれを書く少し前に、父親から初めて生まれ故郷の話を聴く機会がありました。詩集の中に描かれる「失われた故郷」の表象が、父のそれと(南と北、海と山という違いはあるにせよ)どこか重なり合うようにも思えて、その個人的な感傷に引きずられないように読むというのが苦労した点でした。
詩集の魅力を十分に伝えきれたかどうか、ともあれ何とか文字数内には収められました。

巻末の「近況雑感」コーナーには、地名にちなんだ詩にちなんで、北海道伊達市内に実在する「和歌に由来する地名」を紹介する雑文を寄稿しました。
少し前にXでも取り上げた話題です。

「詩素」18号の執筆者は二条のほか、海埜今日子、大仗真昼、大橋英人、坂多瑩子、酒見直子、沢聖子、大家正志、高田真、南原充士、新延拳、野田新五、肌勢とみ子、八覚正大、平井達也、平野晴子、南川優子、八重洋一郎、山中真知子、山本萠、池田康(敬称略)。
まれびとは愛敬浩一さんです。
定価は税込500円、ご注文は発行元の洪水企画までどうぞ。

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