詩素15号に詩「十枚目」掲載

   2024/04/07

洪水企画刊「詩素」15号に、 詩「十枚目」が掲載されました!

2023年11月1日発行の「詩素」15号、拙作はpp.40-41に掲載されています。

もう10年以上も前ですが、姫路城見学の折に「御菊井」を知って驚いたことがあります。
お菊といえば江戸が舞台の「番町皿屋敷」の印象が強かったのですが、姫路を舞台にした「播州皿屋敷」もあり(こちらのほうが古そう)、他にも全国各地に皿屋敷跡や伝説が残されているのですね。
いくつもの井戸に、何人ものお菊が落とされて、それぞれに足りない皿を数え続けている……メタレベルに及ぶ怪奇とは、さすが日本を代表する怨霊の面目躍如。

さらに姫路では、1975年にオキクムシ(毒蝶ジャコウアゲハの蛹の異名)が大量発生し、お菊の祟りと騒がれたそうな。
実をいうと書き始め時点の構想では、この蝶の要素を詩に盛り込むつもりはなかったのですが、いつの間にかイメージの中に入り込んできて、気がつくと三連構成のうち二連まで乗っ取られてしまっていました。
祟り、なのでしょうか。

さて執筆者アンケートでは、有難いことに5名の方々に言及をいただきました。以下、頂戴したご感想を一部抜粋してご紹介します。

「妖しいような暗さが、哀しく華やかな、読本のようでした。」(海埜今日子さんより)

「とても濃密で凝ったフィクションの活かし方」(池田康さんより)

「注がすばらしい。初めてオキクムシの由来に触れて、ぞっとする。」(八重洋一郎さんより)

「圧倒的な美意識で皿屋敷の物語が再構成されている。しかも麝香揚羽の異名で作品の重層性を構築するとは。『面白いネタを見つけたから詩に使った』感がなく、素材が作品世界の中で巧みに転がされている。」(平井達也さんより)

……転がされたのは素材ではなく、作者のほうかもしれません。

巻末の「近況雑感」コーナーには、去る8月に開催された「世界のどの地域も夜 ~書籍『詩の檻はない』発行・発表イベント~」参加報告を寄稿しています。

「詩素」15号の執筆者は二条のほか、海埜今日子/大橋英人/小島きみ子/坂多瑩子/酒見直子/沢聖子/菅井敏文/大家正志/高田真/七まどか/南原充士/新延拳/野田新五/肌勢とみ子/八覚正大/平井達也/平野晴子/南川優子/八重洋一郎/山中真知子/山本萠/吉田義昭/池田康(敬称略)。
ゲストは野村喜和夫さんです。
定価は税込500円、ご注文は発行元の洪水企画までどうぞ。

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