詩素14号に詩「業火」掲載

 

洪水企画刊「詩素」14号に、 詩「業火」が掲載されました!

2023年5月1日発行の「詩素」14号。

この詩誌は、執筆者同士が作者名を伏せられた状態でお互いの原稿を読み、投票し合って3点前後の作品が巻頭に選ばれます。
今回は8名の方々に票をいただきまして、2年ぶり4度目の巻頭掲載(pp.6-7)を果たしました。

前回の巻頭掲載は囚人道路、今回は炭鉱。特に意図したわけではありませんが、北海道の近代を描くシリーズのようになってしまいました。
もっとも炭鉱は北海道外にもたくさんあったので、(読者の年代にもよりますが)まだいくらかイメージしやすい素材ではあるかなと思います。

舞台となった炭鉱町は、例によって架空の町です。が、モデルというか参考にした炭鉱火災が2件あります。
1962年の発火により町全体がゴーストタウンと化した米国セントラリア。
そして1913年から100年以上も燃え続けているという旧北炭夕張炭鉱の神通坑。
ちなみに夕張は2019年に石炭博物館の模擬坑道でも火災が起きて話題になりましたが、そのニュースが炭鉱火災に関心を持つきっかけになりました。
二条自身が家系的に炭鉱労働者の(それも北炭の)血を受け継いでいるというのも、関係あるのやらないのやら。

ちょっと脱線しました。以下、執筆者アンケートにて拙作に頂戴したコメントを抜粋してご紹介します。

「炭鉱の町の昔の繁栄、過酷な労働実態も、町の急激な衰退など、炭鉱という言葉には何か強烈に訴えかけてくる力を感じます。大地の奥底に押し込められたエネルギー、怨念、悲嘆、そういうものを思わず連想してしまうのは、読む者もまた発散・解放できずに内に秘めているものを抱いているからでしょうか。」(まれびと:秋元炯さんより)

「見捨てられた炭鉱で、赤々と燃えているものが立ち現れてくる。」(山中真知子さんより)

「強く惹かれました。『(火種を持ち込んだのは私たちだ)』の二律背反。『いっそ何もかも焼き棄ててしまえばよかったのに』という感情が理論的に感じられました。」(平野晴子さんより)

「地貌というものだろう。それぞれの土地には歴史がある。それに対してどれだけ思い入れが持てるか、言い換えれば妄想の世界に入っていけるかが、同じものを扱った散文との違いになるということだろうか。そのことが、詩独特の切迫性や迫力を産むことにつながっていると感じた。」(新延拳さんより)

「今ある社会が犠牲の上に成り立っていること、忘れてはいけないという教訓的な思いではなく、どう受け止めればいいのか考えさせられます。」(酒見直子さんより)

「過去の出来事でありながら、現在継続して起こっていることのような熱度で事故の様子が伝わってきました。史実に基づいた作品と推察しますが、決して説明的にならず、詩としての言葉が輝いていることに感心します。」(南川優子さんより)

こうした作品を「詩」として評価しコメントをくださる方がいらっしゃることのありがたさ。
何よりの励みになります。

巻末の「近況雑感」には、北海道の春、なかんずく居住地むかわ町周辺の春についての短い考察を書きました。
こちらは詩と違ってごく軽い読み口になっていますので、ご笑覧いただければ幸いです。

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定価は税込500円、ご注文は発行元の洪水企画までどうぞ。

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