日本詩人クラブ三賞贈呈式にて登壇&朗読

   2022/07/14

2022年4月9日(土)に東京グランドホテルにて開催された「日本詩人クラブ三賞贈呈式」に出席し、朗読と受賞者スピーチを行いました!

拙詩集『亡骸のクロニクル』が第32回日本詩人クラブ新人賞を受賞したとの報に度肝を抜かれたのは2月末。そこからあれよあれよという間に、贈呈式の日を迎えました。

上京も飛行機に乗るのも2019年の秋以来、2年半ぶり。快晴で初夏の陽気、汗だくになりながら会場へ向かいました。

式次第では賞の贈呈のほかに5分程度の朗読と7分程度の受賞者スピーチがあるとのことで、何を読むか迷いましたが、穏やかならぬ大陸の情勢に思いを馳せてまず「パンゲアの食卓」を、続いて一番人気の「Uneverse」をご披露することに。
スピーチでは、感謝を述べたい相手がたくさんいらしてこちらも迷いましたが、道外の皆様にはまずこの説明が要りそうだと思い、白老町とのご縁についてお話ししました。

詩界賞特別賞の苗村吉昭さんはご欠席でしたが、クラブ賞の草野信子さんとご挨拶でき、受賞詩集『持ちもの』をお手渡しで頂けたのもとても光栄でした。
また会場ではいつもお世話になっている「詩素」メンバーの面々ほか、初めましての詩人の皆様にも親しくお声がけいただき、温かい祝福の言葉を頂戴しました。
感染状況に配慮し規模を縮小して行われたのが、私にはちょうどよかったのではないかと思います。なごやかな雰囲気で助かりました。

当日の模様はYoutubeで生配信されました。ぜひ見てほしい、とは正直思いません…が、一応、お気になる方は下記URLよりどうぞ。
▶️朗読開始位置(1:50ごろ)
▶️受賞者挨拶開始位置(2:05ごろ)

以下、会場で頂いた「詩界通信」98号より、拙著への選評部分の一部抜粋です。身に余るお言葉の数々に恐縮しつつ、今後の励みとして胸に刻みます。

「ヒトを含めた動植物の生死を見つめながら、地球自然界の関係性についての体感洞察が新鮮で、命への能動的で詩的な複眼と語りが豊かだ。現代人の心のさりげない機微などを地球歴史的視野に重ね合わせる詩法で、二一世紀的な文明批評が骨としてありながら確かな生活感を手放さない。風刺精神やユーモアも冴えている。」(選考委員長・佐相憲一さんより)

「『Universe』という詩で、過ぎ去った経験としての思い出を、短かすぎる感覚の中に収めてしまうことを嫌って、世界・永遠・宇宙という広がりの中で捉えなおしている。(中略)好感するところ多く、作風も斬新で新人賞にふさわしい作であった。」(天野英さんより)

「冒頭の作品『Universe』と最後に置かれた『服喪』が本詩集にとって最も重要な作品となるが、『パンゲアの食卓』での、普遍性の非常に高いところで歌声をひびかせる、なかなか見られない詩の光景にも注目したい。陰惨な戦火のとどろきに揺れる今のユーラシアを背景にするとこのイノセントな調べはことに神々しく響きわたるのではないか。その規模の舞台に立てる詩だ。」(池田康さんより)

「巻頭詩『Universe』には早くも奇才を感じた。(中略)ゆるみなく張りつめた詩には言葉の無駄がない。そして並外れた洞察力と知力を感じる。とにかく読ませる。巧さを越えて心に響いてくるものがあった。『開眼』『一線』『観音』『服喪』など読むたびに深さが増す。」(沢聖子さんより)

「巻頭詩『Universe』の、さりげない始まりと壮大な最終連。この時空に対する認識は新しく本質に迫っているように思われた。理知と詩情のバランスが良く、生命という主題から外れない。パンゲアから観音に至るクロニクルに魅せられ、喪が明ける兆しによって希望に辿りついた。」(外村京子さんより)

「巻頭の『Universe』からエピローグ『服喪』までの一貫した視座の確かさ。静かな語り口で荘厳な宇宙観にまで達する筆力。イマジネーションと思索が混然一体となって立ち上がる詩世界は、実に大きく豊かなものでした。」(峯尾博子さんより)

「この一篇だけで受賞の価値があると審査員の一人が言った。私も同感だった。『亡骸のクロニクル』の冒頭の詩『Universe』は、生と死と、滅亡と再生、宇宙観を包含した詩でその迫力に圧倒された。(中略)しかし、以降の作品における詩人の感覚は妙に日常的に醒めていて物足りない。廃線の駅をユーモラスに描いた『駅長さん』は辛辣な味わいを残すユニークな詩だが、他は印象が概して希薄で、『Universe』に拮抗する詩はやっと最後に置かれていた。詩『服喪』の”今、踏んだのは誰の骨”と繰り返す詩句に私は胸を衝かれた。(中略)我々が踏む何処の土にも死者の記憶が埋められている。この詩は冒頭の詩と向き合って交響し、死と再生の大きな循環のなかに私たちを立たせる。詩集には不満がある。しかし、なおもこれを推したのは骨太の詩の創造が期待できるからだ。」(八重樫克羅さんより)

ご関係の皆様には、改めまして心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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