404-存在しない場所

404

申し訳ありません。あなたをおかしな道へご案内してしまったようです。
手ぶらでお帰しするのも申し訳ないので、よろしければ迷子の詩でもおひとつどうぞ…

    迷いの森

迷いたくて
ここに来たのだろう、君
道なき道へ踏み入るにはあまりにも軽率に
地図もコンパスも持たず食料もなく
ポケットの中の電話はバッテリー切れ
たぶんどれも偶然じゃない

四方で囁き交わす鳥の声は君を導かない
太陽は梢の向こうを出たり隠れたりして
正しく惑わせてくれる
標のない獣道の奥へ
もっと奥へ

ふだん暮らしている森は
見通しのよい行き止まりばかりで
なかなか迷わせてくれないのだろう
急斜面には手すりがあって
湿地はロープで囲われていて
小高い丘にはベンチがあって
いつも親切な誰かが先回りしている遊歩道
君が大切なものを守るために
そこで生きることを選んだのは
もちろん間違っていない

ただ、もしかしたら
間違ってみてもよかったのではないかと
自分によく似た声に唆されて
たびたび故意に帰り道を忘れては
わたしの中を
当てもなく彷徨いに来る

まだもう少し
迷子でいたいのだろう、君
導いたりしないから
好きなだけ堂々めぐりを続けるといい
ただし日が落ちる前に引き返さなければ
帰れなくなっても知らないよ


二条河原SQUAREへ戻る