詩素12号に詩「ふぐの子」掲載

 

洪水企画刊「詩素」12号に、 詩「ふぐの子」が掲載されました!

2022年5月1日発行の「詩素」12号、拙作はpp.46-47に掲載されています。

実は4月14日発行の「みなみのかぜ」12号に寄稿した「象の道」と同時進行で制作したもので、ゾウとフグ、陸と海、明と暗、外と内、太古と現代、…を独りで行ったり来たりする貴重な体験となりました。

構想ができてから書き始めるまでは切り口に苦しみ、書き始めた後は内容の重さに苦しんだ作品です。
書き上げて、これは読むほうもしんどいなと、またこの主題は誰にでも理解できるものでもないなと思いましたが、
しかし、たとえ好評を得られなかったとしても世に出さなくてはいけないような気がして、恐る恐る原稿を送ってみました。

ありがたいことに執筆者アンケートでは4名の方々に票をいただき、ほっとしています。以下、頂戴したご感想を抜粋してご紹介します。

「ふくらみの内部のひそかな壮絶、(中略)心ひかれました。」(海埜今日子さんより)

「読んでいて次第に身につまされる思いがしてきます。親とは違う生き物になって自由に生きていきたい、その願望と現実との落差がふくれてくるおなかにほの見えるあたり、リアルです。」(野田新五さんより)

「母と子の深い葛藤・愛情のようなもの。一行一行の文章から、(中略)痛いまでに伝わってきました。/母とはちがう生きものに、わたしはなりたかった。/平凡な一行の中の、格別な表現の深さをつよく感じました。」(大橋英人さんより)

「読後、胸が締め付けられると同時に思い浮かんだ光景は、心ない釣り人に堤防に打ち捨てられたフグだ。海の中を愛らしい姿で泳いでいたフグも、一度釣り上げられてしまえば、ただの”外道”だ。きっと『母』も、人間社会という海から吊るし上げられ、厄介者として捨てられてきたのだろう。この作中に、『母』と『私』以外の人物の気配がないのも、孤独な生活を浮き彫りにしている。フグはただ触れただけでは毒は回らないように、『母』も『私』も、すべての人が『ふぐ』にならないように生きられる、清らかな社会になることを心から願う。」(七まどかさんより)

七まどかさんの評、前号でもそうでしたが、とても細かいところまでよく読み込んでくださっていて嬉しく思います。
なお、巻末の「近況雑感」コーナーには、2月に詩とパンと珈琲 モンクールさんと釧路市立博物館を訪れた時のささやかなレポートを寄稿しています。

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定価は税込500円、ご注文は発行元の洪水企画までどうぞ。

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